ギュッと五臓六腑

シンガポールで日本っぽいもの探して食べててバカっぽい

11月20日(金)のはなし。

 
リトルインディアに行った。その名の通りインド街のシンガポール支部。あらゆる出店でお香が焚かれていて、あっ八百屋さんで焼き芋焼いてる?、と勘違いさせられてムカつく。バナナしか売ってないいわゆるバナナ屋さんがあるの南国っぽかった。マフラーから黒煙を吐き出すトラックの荷台に出稼ぎっぽい人たちが集団で乗ってるの、中学生の時の社会科の教科書でしか見たことなかったので実際に目撃できてキャッキャ。
 
Mustafa Centreで物色。日本でいう……ドンキ?ドンキでいいですか?通路が狭いし商品の箱が潰れてたり埃かぶってたりすることが時々あるという点も含めると西友とはいえなくない?アーユルヴェーダ石鹸を選んでる時が幸せだった。swissmissのホットチョコレート粉末を見つけてキャッキャ。
 
晩ごはんはDelhi Restaurantにカレー、というよりナンを食べに行く。ナンが好きナンだ。なんらかの具をナンの中に挟んで焼き上げたものをクルチャというのだけどチーズを具にしたチーズクルチャがおいしくてお代わりする。カレーは日本でインド人がやってるカレー屋さんで食べるのと同じ感じだったというか変なスパイスが効かせられたものをできるだけ避けたくて観光客向けの当たり障りのないカレーを提供してくれるようなお店をわざわざ選んだんだよねお腹は壊したくないじゃんね。ここ、注文用のiPadを用意してくれてるお店で、シングリッシュ怖い怖いウーマンの私にはとても心地よかった。近くの席から日本語が聞こえてきて耳をそばだてると大学生風の日本人オタ……ギークが「単位が〜留年が〜」という話をしていてその空間だけ日本っぽかった。リトルジャパン。

シンガポールでおいしいものを探すの私はまだ諦めてない

11月19日(木)のはなし。


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Maxwell Food Centerで朝ごはんにZhen Zhen Porridgeの魚粥を食べる。白身魚の切り身が入った、お米の粒感の無いどろどろしたお粥で、スープみたいだった。変なスパイスも入ってなくて純粋に魚の出汁の味でおいしかった。フードセンターの中は朝でも蒸し暑いので早く食べ終わって逃げ出したかったのにいつまでたってもお粥は激熱なままで、カクテルライト的な熱さを維持する小型機械でも仕込まれてんじゃねーのこれと思いながら猫舌なのに急いで食べて舌が火傷。
 
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夜ごはんにLau Pa Sat Festival Marketに行く。ラウパサとかラオパサとかって読むよ。ホーカーズなのだけど改装したばかりなのでMaxwell Food Centerと比べると雲泥の差で綺麗アンド清潔感がある。建物の上には時計台があってかわいい。中のお店の外観がほぼ統一されていて、外壁や屋号のフォントが一緒なのでパッと見だとどんなお店なのか認識しづらくてキッチンの後ろの壁に貼られたメニューに目線を向けながら歩く。讃岐うどん、カツ丼、日本のパン屋さん……MAGURO?違うMUGIHOでした調べました、そういう名前のパン屋さんと、あと日本のケーキ屋さん、とかとか日本食 or 日系のお店が結構あって、シンガポールに住むことになったらお世話になるんだろうなぁと妄想しながらもそれらをガン無視してサテーを食べた。サテー、いわゆるヤキトリで、でも鶏だけじゃなくて羊と牛の肉も串に刺されて焼かれる。一本0.7シンガポールドルくらいで、日本円で60円くらい?お酒のつまみに良いやつ。お肉、硬かったけど、硬いからこそ良い、みたいなやつなのかなあ?、味付けがなんかカレーっぽくてウウム〜となりつつもサテーと一緒にもらえたアーモンドソース?が甘くておいしかったので助けられた。道路脇に並んで煙をもくもく吐き出しているサテーの屋台は夜にしか開かれない。日が完全に沈む頃に屋台の前の道路を封鎖してテーブルとイスを設置し始めるのを目撃してニコニコ。エブリデイパーティーだね。
 
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シンガポールで一番背の高いビルOne Raffels Placeの屋上にあるバーGallery & Bar at 1-Altitudeに行く。1日目に登ろうとしてたMarina Bay Sandsを見下ろしてふふーん。入場料と1ドリンク代で一人30ドル。観光地では心を無にしてお金を払うとよい。初めてのシンガポール・スリング、甘くておいしかった。

サブカル女なのでシンガポールでもずんずんカフェに行く

11/18(水)のはなし。


昼間はじぐそうくんがカンファレンスに行くことになっていて、その時間に外出するそれすなわち異国の地で公用語をまともに喋れない女がひとりでフラフラすることを意味するので怖すぎてホテルで布団にくるまっていた。おふとんしゅきしゅきまる丸です。
 
おなかしゅきしゅき丸に変身してしまったので仕方なくホテルを出てDrury Lane cafeに行く。なんて読むんだろう、ドルリーレーン?ハムチーズトーストを食べてワ〜酸っぱくない〜しょっぱいの幸せ〜となった。あとホットチョコレートも飲んだ。ホットチョコレートが好きで、7月くらいにオーストラリアに行った時も飲んできていて、これは日本で常にホットチョコレートを飲めるのがシアトルズベストコーヒーしかないと思いこんでいる(から、外国に滞在してるうちに飲んでおこう、ってなる)ことに起因しているのだけど、実は能動的に調べてないし日本でも飲める場所はもっとありそう。
 
Quarter to Three( http://www.quartertothree.com.sg/ )に移る。ここもカフェ。眠いので普通のコーヒー飲んでた。お会計の時にフィフティーンとフィフティーを聞き間違えてしまって、ただでさえなけなしの自尊心がズタボロになる。英語習いたての中学生時代に退化したっぽい。
 
Maxwell Food centerに行ってTian Tian hainanese Chicken Riceのチキンライスを食べる。昨日食べたのより全然おいしくて感動してしまった。世界的に有名なお店らしくてさすが。パクチー乗せられてない代わり?に餡かけっぽいタレがかかってて鶏肉も割とササミのパサパサ感が無くてプルプルしてた。このチキンライスなら毎日でも食べられる〜って思って個人的なシンガポール食糧危機問題がちょっとだけ快方に向かう。でも合言葉はやっぱり「西洋のものが食べたい」。

シンガポールで食糧危機をしている

11/17(火)の話。


チャンギ空港に着いたのが朝06:00くらい?、で、MRT(ただの電車)に乗ってホテルの最寄のTanjong Pagar、た、た、"たんじょんぱが"、ここに限らず地名がいちいち読みづらい読み方わからない、以下TP駅、に着いて外に出たらウワ蒸し暑すぎるってなった。直前まで雨が降ってたみたいだし、道路はデコボコしてるし、駅周辺では工事が行われていて、工事現場から引きずられてきた泥が水溜りに混ざっておりギャースーツケースが泥に汚れて死ぬ!別に死んでない。じめじめした空気に「暑い」を連呼していた。
 
じぐそうくんが翌日に行くカンファレンスの前受付をするためにコワーキングスペースThe Working Capital( http://www.theworkingcapitol.com/en/page/spaces )の入った建物に寄る。二階より上がThe Working Capitalで、一階はカフェThe Daily Roundup( http://www.thedailyroundup.com.sg )。滞在中に本を読みに行けるようなカフェの第一候補だなーでももしかしたらコワーキング契約者限定に開放してるカフェかなーと心配してたんだけど今調べたらそんなことなくてクレープおいしいから食べに来いよ感がすごい。ノマド民たくさんいるし紛れられそう。
 
MRTで移動してマーライオン見た。一方マーライオンは彼?彼女?の目の前の湾を見ていた。あのマーライオンさんならきっと観光客向けにご飯屋さんに囲まれてるだろうと目星を付けてたけど高級レストランとバーとかき氷屋さんはどれもランチ役にはちょっとねえ、何より時刻17:00、ランチタイムには遅くディナータイムには早く活気も無く。マーライオンに背を向けて通りを渡ったあたり?の?地下のホーカーズ(屋台がまとまってフードコートとして営業されてるところ)(シンガポール各地にいっぱいある)に行ってなんか酸っぱい麺を食べてウウウとなった。"ラクサ"っていうローカルフードで……「ココナッツミルクをベースに使ったスパイシーなスープに、米麺が入っているのが特徴」……えースパイシーはともかく酸っぱいのヤダーってなって練乳入りのコーヒー="コピ"、っていうんだねベトナムコーヒーという認識だった、を買って飲むんだけどそれもまた酸味のある豆が使われててそれはまあ普通に飲めたんだけどなんなのこの国は酸っぱくないとダメなの?
 
しょんぼりしてたけど駅中の薬局Guardian(日本でいうマツキヨっぽい頻度で各駅に存在するっぽい)でニベア製品の、日本未発売の大きいボトルが破格の安さでキャッキャ。
 
三本の高層ビルの上に空からどでかいボートが落ちてきてそのまま維持しちゃいました的なシルエットのMarina Bay Sandsはマーライオンのちょうど対岸に位置していて、そのボート部分に上りたくてエレベータの前まで行くんだけどまごまごしてたらモバイルWi-Fiの電池が切れて呼吸ができなくなったので一旦ホテルに戻る。
 
呼吸を取り戻してMaxwell Food centerに行く。Sunto Gyozaの餃子を食べてまあ餃子だねという感じになり、Maxwell hainanese Chicken Riceのチキンライスを食べてこれ六本木の海南鶏飯食堂とまったく同じ味するなという感じになる。日本で現地の味を再現できてるのすごいね。日本でいうチキンライスとシンガポールでのチキンライスは全然違ってて、シンガポールの方はチキンとライスです。
 
チキンライスにパクチーが乗っててパクチー嫌いだったことを思い出して、おまけにココナッツミルクも好きじゃなくて、もしかしてシンガポールのご飯は私に決定的に合わないのでは……と勘付く。これは日本でネギと醤油が嫌いとのたまうレベルの危機っぽい。

「俺が死んだら、ここを食べてもいいよ」――映画『野火』を観た

小説や漫画を読んでいる途中に「早く終わってくれ」と残りページ数を確認した経験は誰でも一度はあるはず。大抵、それは目の前の作品が冗長なせいで、すなわち「つまらないから早く終わってくれ」ということなのだけど、たまに例外がある。「おもしろいけど苦しいから早く終わってくれ」と願う時がある。塚本晋也監督の『野火』はその例外の方だった。思わず顔を歪めるくらいにおもしろくて苦しくて早く終わってほしい上映時間87分。

『野火』が描くのはただひたすら、戦争という大きな潮流に巻き込まれた生身の人間たち。目を見張るような雄大な自然の中で人間が殺し合う、そこに「生きたい」という希望は無かった。ついさっきまで言葉を交わしていた相手が一瞬で肉になる現実においてすら、人間の本能が反射的に行う防衛機能は働き続けてしまう、その最終到着点がカニバリズムだ。死にかける兵士曰く、彼自身の腕を指しながら

俺が死んだら、ここを食べてもいいよ

とのこと。はぁしばらく焼肉食べたくない……。

映画館を出る頃にはすっかり夜になっていて、ちょうど『野火』を観ている間にだけ降っていたらしい夕立のにおいと湿気が残る渋谷の街を、旦那と一緒に無言で歩きながら(もうカニバリズムのせいで旦那も私も鬱状態)、じわじわと考える。言い古されすぎて口にすれば白々さすらあるが、やはり、改めて、こんなふうに好きな人と過ごせること、映画を観れることは幸福なのだ。この幸福を味わい続けたいし、これを妨げそうだし、戦争はいやだなあとぼんやりと思う。

政治わからない 戦争はよくない 君と共に生きたい

『君の笑顔で世界がやばい』/バンドじゃないもん!

戦争映画を観て行き着くのがアイドルソングの歌詞だなんて我ながら節操が無くてびっくりだし、根拠の薄いなんとな~くな政治観にも恥ずかしさは否めないけれど、その恥ずかしさは“無知の知”ということでとりあえずはOK。これからも生きる。

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ちなみに観に行ったのは終戦日の8月15日。足を運んだ渋谷ユーロスペースでは、その日限定のキャンペーンで25歳以下の人は鑑賞料金が500円に割引されていた。その安価さで鑑賞してしまった事実がとてもギルティで……。キャンペーンは塚本監督の「若い人に戦争を知ってもらいたい」という想いに依拠したもので、そして私はその通り戦争を知ることになったので罪悪感を抱く必要はもちろん無いのだけど、この世に存在する良い物とその作者にもっとペイしていきたいぞ、という気持ち。塚本監督、次回作はやくはやく!