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アナログレコードと、2015年に聴いていた音楽の話をしよう

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FM横浜のラジオ番組『アナログ特区』はアナログレコード音源だけをかける音楽番組で、ディスクジョッキーはピーター・バラカン、ロンドン生まれロンドン育ちのずばり英国老紳士。父はポーランド人で母はイギリス人とミャンマー人のハーフ、そんな男女から生まれたのだからもちろん日本人ではないのだけど、「何々しちゃう」「何々しちゃった」といった述語が頻発する彼の《愛嬌のかたまり》って感じの日本語はとってもキュートで、そして何よりも、六十年ほどの人生経験によって裏打ちされた音楽知識と、ああそのジャンルもカバーしてんの!?って驚いちゃうくらいのバラエティ豊かな選曲。うわ~歩く音楽大事典だよ同じだけの長さの人生を歩んだとしても私はこんなふうになれる?嫉妬と羨望。

当然のようにレコードの世界に足を踏み入れたくなって、その番組で毎回一名にだけプレゼントされているアナログレコードプレーヤーが欲しくて毎週リクエストメールを送っていた。ion Archive LP USBターンテーブル。抽選なんかに願いをかけてないで自分で買えばいいものを……と思われるだろうし自分でも思ったけど、だって初めて買った音源はCDでポルノグラフィティの『ヒトリノ夜』な私にアナログレコードって存在はやっぱりちょっと遠すぎない?って感じだったのだ。


結局アナログ特区ではなくて他のラジオ番組でまったく同じレコードプレーヤーを当てる。


さあプレーヤーを手に入れたことだし次は盤だ、と渋谷のHMVに行って買ったのが『Love Will Keep Us Together/The Captain & Tennille』。曲もアーティストも全然知らなくて適当に手に取っただけ、だけど紛れもなく私の最初の一枚!


CAPTAIN & TENNILLE ❖ love will keep us together (official video)


初めて針を落として、音が鳴った瞬間の、ウワーッってときめきが今でも忘れられない。

Apple Musicで自分が生まれる前の曲を聴いてはレコードショップで盤を探していたこの一年間は本当に素晴らしかった。これまで無視してきたレコードショップという存在が突然自分のフィールドに含まれたことが楽しくてしょうがない。いつも遊んでいたはずの街の路地裏に小さなレコードショップを見つけた時。初めて降りる駅で、その駅名と《アナログレコード》というキーワードでAND検索をする時。知ってるけど行ってないレコードショップが沢山ある。欲しいけど見つけることのできていないレコードが沢山ある。
去年までの、レコードに触れずに過ごしてきた私の二十何年間。ずっと、それほどのことを見過ごし、見逃し、見損ない続けていた。


上京する前、実家で鬱屈して這いずるように寝て起きて「今日も何もうまくできなかった」を繰り返していたあの頃、それでも朝日を迎えようと一瞬でも思える理由の一つが音楽だった。今年はレコードのおかげで革命すら起きた気分。プレーヤーの上に鎮座するドーナツ盤がいちいち愛しいよ。


さて、今年よく聴いていた曲たちをリストアップしたのだけど、2015年発表の曲が全然なくてンンン?



Doobie Brothers ~ What A fool Believes (1979)
初めてイントロ聴いた瞬間にビシャーン!って雷が落ちたみたいになってしまった。



転校生 - 「エンド・ロール」ミュージックビデオ
上京して一年経ったけど、転校生の曲ほど東京の雨の日に似合うものがなかなかない。



EVISBEATS【MV】ゆれる feat. 田我流
偏愛してる後輩の男の子が「これ聴いてる」みたいなブログ書いてて見事に悩殺されて、この曲のせいで2015年はジャパニーズヒップホップ強化年間になった。



田我流とカイザーソゼ【MV】アレかも、、
"最後にいつでもレコ屋に行きたい"



KOHH - ”飛行機” Official Video(Dir Havit Art Studio)
KOHHの、シャブやってます?って感じの曲は苦手だけど物憂げな曲は好きだった。



DOTAMA 『a song for a cup of tea』 Produced by Fragment
今年の夏にDOTAMAを知って以来ああ~クリエイティブとはこうあるべきだな~と襟を正したくなるのでよく聴いてた。フリースタイルラッパー、頭の回転が速いんだろうし、この曲の歌詞にも『アルジャーノンに花束を』要素が入っていて、幅広い知識?リベラルアーツ?をしっかり身につけてそうで、もしかしたら眼鏡と髭の特徴的なビジュアルも音楽業界生存戦略のうちなのかなぁ、魅力的な人ですね。



お嫁においで 2015 / 加山雄三 feat. PUNPEE
どの時代にも「音楽に傾倒するダメ男」はいたと思うのだけどPUNPEEはそれが似合いすぎる。PUNPEEが散々ラップしてるのに結局耳に残るのは「~すぐに帰るから僕のお嫁においで」部分で、原曲『お嫁においで』のキャッチーっぷりに聴くたびに戦慄することになる。



G.RINA - 愛のまぼろし feat. tofubeats 【MV】
高校生の時にこれ聴けてたらもっとうまく失恋できてた気がする。


ペインキラー

ペインキラー

あっこれ今調べたら作曲KREVAなんですねさすが。



SANABAGUN - 人間
ジャズとヒップホップにこんなに親和性があるとは!、で今年一番の衝撃だったから人にお勧めしたいのに音源だとしょぼすぎて困る、もう本当にライブだとすごいんですよこの人たち、早くライブ音源出してほしい、こんなに音楽技術あるのにやっとメジャーデビューってなんなの!?ってキレたくなるくらいのライブをするんですよ。



清 竜人25「Mr.PLAY BOY…♡」Music Video
清竜人が女の子たちに「スケベ」って言ってほしかったんだろうなと思う。けっして造形が美しいとは言えない清竜人の顔がチラチラ綾野剛に見間違えてしまうくらい彼らのライブは魅力的なので皆さんにもぜひ行ってほしい。で、


どうしようもないよ…

どうしようもないよ…

  • 清 竜人25
  • J-Pop
  • ¥250
ライブで聴くこの曲の落ちサビの清竜人に惚れてほしい。清竜人、2016年はソロ活動をしようかな的なことをどこかで言っていた気がするので期待している。



バンドじゃないもん! / 「君の笑顔で世界がやばい」
『バンドじゃないもん!』は《無力感》に追われているアイドルだと私は感じていて、例えばこの曲のタイトルなんかも、「君の笑顔で世界がやばい」の『君』は私たちファンのことなんですよね。
アイドルって大抵「笑顔でみんなに元気を与える存在」が前提とされるのに、バンドじゃないもん!はそれを手放しでは言えないんですよ、少なくともまだ。将来的にはやっぱりアイドルとしてそこを目指しているのかもしれないけど。他のアイドルグループとの差別化を図れるベース担当やキーボード担当の存在についても、腕前はどちらも特筆できるものではない。ドラム担当のみさこは神聖かまってちゃんのメンバーとしても活動しているぐらいだからドラム技術はあるけど、アイドルジェニックな立ち振る舞いは得意ではない。一般的なアイドルのイメージとしてはどこか空回りしてる。
で、そんな、自分たちに全然自信が持てていない現状で、今言えることを詰め込んだのがこの曲。歌詞の、「楽しませるのは得意分野だよ」とか「月並みだが一人じゃないんだって覚えとけ」とか、常にどこか客観的な言い回し。「ポップスの神様 いっぱいいすぎでご利益ないからそれならば僕が」だって、「私たちがポップスの神様だ!」って言い切っちゃうことだってできるのに、そうは言わない。
どこかパッとしないグループ(だけど恋汐りんごちゃんかわいいな~)だと思ってたのだけど、この曲が発表されてからは、パッとしてないからこその慎ましやかさから目が離せない。いつかメンバー皆が声を合わせて「今すっごく楽しい」「私たちがついてるからね」をファンに言えるようになれるといいね。



tofubeats / トーフビーツ -「朝が来るまで終わる事のないダンスを」
Jackson 5の『I Want You Back』もそうだけど、悲しい気持ちを明るい言葉(この曲においては《ダンス》)で語られる時の、凜とした強さよ~。


今年、tofubeatsのライブに初めて行って、この曲ももちろん良かったのだけど、



tofubeats(トーフビーツ)- STAKEHOLDER
この曲の、デーデッ!デー!があんなに身体に響くとは思ってなくて、えークラブで聴くとこんなに違うの!?最高!ってなった。


レコードで買ったんだけど矢野顕子の声がレコードプレーヤーから流れるのはこの世の真理って感じがする。矢野顕子小田和正の掛け合いとハモり!



Earth, Wind & Fire - September
歌詞に「今は12月。僕らの9月のあの愛をまた見つけたよね」っていうのがあるんですけど、9月と12月が来る度に私もこの曲への愛を飽きることなく見つけてしまうんですよね。今年も私のアンセムだった。


最後に、今年行ったライブについて、特にCHICとSANABAGUN.が素晴らしくて、って書いてるけどこれ両方12月の直近に行ったやつだから印象がまだ掠れてないだけかな?、でもCHICはファンクの、SANABAGUN.はジャズとヒップホップの集大成って感じで、どっちも、公演が終わってライブハウスを出て外気を吸った時「いい夜だった」「来れて良かった」って素直に言えたのだよな。ナイル・ロジャースが心底楽しそうに微笑みながらギターを爪弾いて常人には真似できないカッティングを聴かせてくれるあの時間、永遠に続けばいいのにと思いました。