兄と私の誕生日

誕生日だった。

朝5時からのバイトが終わって帰宅して、外の雨に濡れた服を着替えもせずにリビングの暖房の前でインターネットをだらだら見ていたら3時間が経っていた。スピリチュアル趣味の方の兄が2階の、兄の自室から降りてきて、「宝くじでも買ってこようかな」って呟いた。
「行ってらっしゃい」「おまえも一緒に行く?」「いやいいよ、雨降ってるし出かけるのだるい」「どっか寄ってやるしなんか欲しいもんないの?」「特にないなあ…」、あ、でも、私の誕生日だからか、と思って、ねむたさを我慢して着いて行った。
宝くじ売り場、初めて行った。ナンバーズ4、4桁の数字を選ぶものだったから、好きな人の誕生日にした。兄は自分の誕生日を買っていた。0612が私の好きな人の誕生日だということを兄は知らないけど、兄は私の誕生日を精一杯祝おうとしてくれた。
帰りに寄ったホームセンターでも、私が手に取ったものの代金をまるでいつもそうしているかのように払ってくれて、これが彼なりの愛情なのだと思った。「誕生日だから買ってくれたんだね、ありがとう」とは言わなかった。私が兄の気遣いに気づいていることに、兄もきっと気づいている。