『告白』/町田康

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

『告白』、「河内十人斬り」っていう実際の大量殺人事件をモチーフにしてて、その犯人・熊太郎が主人公の話。

河内十人斬りが河内で明治に起きた事件だから、登場人物がみんな河内弁で、作中の時代背景も明治なんだけど、文中に現代語っぽいの出てきておもしろい。百姓の倅が爽やかなクールミントみたいな顔してる、って表現が出てきたりする。城戸平次、城戸熊太郎、赤松銀三と来て葛城モヘア、葛城ドールって名前の人物が出てきたりする。たまらん。

あと文体がたまらん。句読点の使い方が並みのそれじゃないし、オノマトペが豊富で、口語で地の文が書かれることが多いから流れるように読める。
例えば、主人公・熊太郎と相撲したサブキャラの駒太郎が、負けたけどもう1回主人公に挑んでみようかなって心情を

いっちょ、わいがいったろかい、とも思う。思うけど投げ飛ばされるだけやからおもろない。しゃあけどいったろかしらんと思うのは熊がなんか嘘くさいちゅうか、ふわふわふわふわして強いちゅう感じがいっこもあらへん、なんかこう騙されたっちゅうかはぐらかされたちゅうかそんな感じがして確かにいやというほど叩きつけられるんやけどなんか負けたっちゅう気ィがせえへんからやねんな。そやからここは一番、わいがはっきりさせたるおもて、があっいったろ思うねんけど、やっぱり気ィついたら投げ飛ばされとんねん。どないしたろかな、ほんま。駒太郎がその様に考えて躊躇していたときである。

って表現する。

話自体は殺人事件モチーフにしてるだけあって救いがないっていうのがまたたまらん。
さんざん主人公に感情移入させといて、熊太郎ちゃんって酒飲みで博奕大好きなダメ男だけどいじらしくて不器用でかわいい♡ってさせといて、その熊太郎が怨恨を理由に人を殺すから「殺人は悪いことだって言うけどこういう事情があるとしたらどう?どんな殺人にもなんかしらの理由はあるよね?そこんとこどう考えてんのあんたらは?」って言われてる気がする。

恋愛要素も盛り込まれてて、主人公の相手役のお縫ちゃんがむちゃくちゃセクシー。男を困らせることに長けたお縫ちゃんに翻弄される熊太郎がかわいくてかわいくて…。
以下、せっかくお縫ちゃんと恋仲になれて有頂天の熊太郎を突然避けまくって困らせた場面での縫ちゃんです。

縫はくすくす笑い、熊太郎の顔を見上げて言った。
「私は変わらずあなたが好き」

個人的にこのあとの二行が大好きです。
熊太郎とお縫ちゃんが一緒にいるシーンものすごく萌えるから同人欲あふれる。

最後に、腐女子の皆様にお伝えしたいんですけど、話の後半になって出てくる主人公の相方役・弥五郎との仲良しっぷりが麗しいのでぜひ。